八重山病院「自転車操業」 医師「第5波より危機的」 患者急増で病床逼迫 新型コロナ

新型コロナウイルス感染拡大で、県立八重山病院(篠﨑裕子院長)では病床逼迫(ひっぱく)が進み、患者を従来より短い期間で次々と入れ替える「自転車操業」の状態になっている。医療スタッフの感染も相次ぎ確認され、人手不足も深刻化しつつある。22日、報道陣の取材に応じた吉嶺厚生医療部長は「以前とは違った危機的状況。住民に通常の医療を届けられなくなっていることを認識してほしい」と述べ、感染対策の徹底を訴えた。
同病院のコロナ用病床は29床と集中治療室2床だが、22日時点で23床が埋まっている。重症化リスクが高い高齢者などを優先して入院させているが、高齢者施設でのクラスター(感染者集団)と思われる事例も起きており、いつ満床になってもおかしくない。
入院患者は従来、発症後一定の隔離期間を経て退院させていたが、感染急増を受け、隔離期間を短縮して自宅や軽症者用の宿泊療養施設に送るようになった。「『病床はまだ5~6床残っているから大丈夫』ではない。患者数は延べ数にすると、かなりの数になる」(吉嶺氏)としている。
検査で陽性が判明した人に対しても十分な問診の時間が取れなくなり、10日からはドライブスルー方式の問診を始めた。1日およそ20~30人が問診を受けている。
医療スタッフの感染は「第5波」まではほとんどなかったが「第6波」では一時、9人が感染者または濃厚接触者となり、欠勤する事態になった。現在も濃厚接触者となった4人が欠勤している。
人手不足に対応するため「第5波」までは病棟の一つを閉鎖し、患者を民間の医療機関に送ってスタッフをコロナ対応に回した。だが「第6波」では民間医療機関の職員に感染者が出たため患者を送れず、今月下旬まで病棟の閉鎖ができない状況という。
11日から診療は電話を中心に行い、不急の手術は延期するなど、診療制限を開始。手術が不急かどうかの判断は「第5波」の当時より厳しくした。吉嶺氏は「通常診療に負荷をかけないでほしい」と訴えた。
「第5波」のデルタ株に比べ「第6波」のオミクロン株は重症者数が少ないとされるが、患者が増えれば必然的に医療現場の逼迫は進む。上原真人医師は「住民が『病状が軽いから大丈夫』という意識を持ってはまずい」と強調した。
同院によると、八重山では現時点でオミクロン株の重症者は確認されておらず、ワクチン接種率が高いことが要因の可能性がある。ただ、オミクロン株では2回~3回接種者の感染も確認されているという。

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