ニュースを知ってホッとした。政府が「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦する方針を決めたのだ。見送りの方針との報道もあっただけに、一時は、この政権は大丈夫なのかと心配していた◆政府が推薦に慎重姿勢を示していたのは、佐渡金山で朝鮮半島出身者の「強制労働」があったと韓国が主張していためだ。だが日本側は、労働者には給与が支払われ「強制労働」はなかったと認識している。ろくに反論せず譲歩するのは、相手の言い分を認めたに等しい◆小さな島に住んでいると生活圏が狭く、会う人の多くが顔見知りになる。これからも顔を突き合わせる以上、紛争を避けたいという心理が働く。言いたいことがあってもぐっと呑み込み、曖昧な笑顔でやり過ごしてしまう◆それは八重山住民の多くが抱く感情だ。日本も大陸から見れば離島であり、島国特有の「謙譲」意識が日本人全体の底流にあるのだろう◆だが中国や韓国は、国益をかけ、真剣で斬り合うような覚悟で日本人に挑んでいる。島の中だけで通用する、なあなあの「薄ら笑い」でやり過ごそうとすれば、肉だけでなく、骨まで断たれてしまう。「相手は本気だった」と気づいても遅い。尖閣諸島問題も、全く同じだろう。