【視点】コロナ「第4波」 離島への飛び火懸念

 県独自の緊急事態宣言が終了して、わずか1カ月。沖縄本島で新型コロナウイルスが急激に再拡大している。玉城デニー知事は29日の記者会見で、初めて「第4波が到来した」と表明。本島20市町村の飲食店や遊興店に再び営業時間短縮要請を出した。
 県は昨年4月、8月、今年1月の3回、独自の緊急事態宣言を出した。今回が4回目の「波」ということだ。
 過去3回の「波」では、いずれも大都市圏や沖縄本島の感染拡大が離島の八重山まで飛び火した。今後、八重山でも感染者が増加傾向に転じる懸念は十分にある。
 島にウイルスが持ち込まれること自体は阻止できないが、感染者が出たあと、いかに迅速に、徹底的に感染を封じ込められるかが勝負になる。行政や医療機関だけでなく、住民も含め島ぐるみで感染拡大防止対策に取り組む意識が求められる。
 沖縄本島での感染急拡大の要因は若者を中心とした飲食である。県によると1月20日から2月28日までの緊急事態宣言中、飲食が感染源と推定される1週間当たりの新規感染者は一時、12人まで減少した。ところが宣言解除後、1週間当たりの新規感染者は直近で136人に達し、爆発的な増加を見せている。
 感染者を年齢別に見ると、20代から40代での拡大が顕著だ。具体的な感染場面としては、会社での歓送迎会、ゴルフコンペのあとの会食、同級生の模合などが挙げられるという。若者の意識に緩みがあるのかも知れない。
 玉城知事は県民に対し①歓送迎会の自粛②模合・会食は少人数、短時間で行うこと③春休みの帰省者などは早期にPCR検査を受検すること―などを呼び掛けた。職場での会食で感染が増加しているとして、職場の責任者が対策を徹底するよう呼び掛けた。
 健康な若者が感染しても自身は軽症で済むことが多いかも知れないが、高齢者や基礎疾患がある人にうつすと重症化させる可能性が高まり、医療機関に多大な負担を掛けることになる。「自分は大丈夫」では済まないことを若者に自覚してもらう必要がある。これは本島だけでなく、八重山でも同様に言えることだ。
 年度末の3月末から4月にかけては人事異動の時期であり、春休みを利用した観光客も増える。観光客をはじめとした来島者の受け入れに一定のリスクが伴うことは否定できないが、これまでに判明している感染者の感染経路はほとんどが県民同士の二次、三次感染だ。感染対策は何よりもまず県民自身の問題である。
 観光立県の沖縄は今後とも観光客を受け入れなくてはならないし、財政基盤の弱い中小企業が大多数を占める以上、感染拡大の中でもある程度は経済を回し続ける努力をしなくてはならない。野党や一部の有識者が主張するような「ゼロコロナ」は不可能であることを覚悟した上で、いかに被害を最小限に防ぐかに心を砕くべきだ。
 沖縄で変異株が増加傾向にあるのも気がかりだ。現在までに確認されている変異株31例のうち、27例が「E484K」と呼ばれるもので、ワクチンの効果を低下させる懸念があるという。
 沖縄ではまだ高齢者へのワクチン接種も始まっていないが、ワクチンを救世主のように過大評価し、感染対策をおろそかにするのは誤りである。

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