【視点】尖閣海域の挑発、友好に暗雲

 中国では新型コロナウイルスによる肺炎の感染者数が6万人に迫り、死者数も1300人を超えたが、石垣市の尖閣諸島周辺海域を航行する中国公船は、いまだに挑発行為を止めない。13日には今年に入り4日目、今月に入り2日目となる領海侵入が起きた。
 日本からは中国にマスクや防護服などの支援物資が次々と贈られている。その箱に、漢詩を引用した中国語の応援メッセージが記されていることが報道され、友好のあかしとして感動を呼んだ。だが、せっかくの心暖まるエピソードも、中国公船の傍若無人な振る舞いのせいで、吹き飛んでしまいかねない。
 元自衛官の佐藤正久参院議員(自民)はツイッターで「新型肺炎に関する日本の中国支援と尖閣領海侵入は別ということがより明確になった。本当にふざけている」と憤った。

 9日には中国爆撃機4機が沖縄本島と宮古島間を往復し、空自機がスクランブル(緊急発進)する事態が起きており、この件も含め「日本国民もこの事実を深刻に受け止めるべき。東日本大震災時も中国の挑発行為は続いていた」と述べた。
 超党派の国会議員による「日本の領土を守るため行動する議員連盟」が開いた7日の総会では、中国に対し「恩をあだで返す行為だ」と厳しい批判が出た。12日に同連盟の議員と内閣府で面会した衛藤晟一沖縄担当相は「中国が本当に日本と友好関係を結びたいのならば、わきまえてもらいたい」と述べた。
 日本国内でも、自国の非常事態をよそに領海侵入を続ける中国に対するフラストレーションが高まっている。中国が今春予定されている習近平国家主席の訪日を本気で成功させようとしているのか、疑問に思えてしまう。

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