【視点】異様な対中決議 問われる矜持

 市長が石垣市の行政区域を視察している隣で、なぜ外国の艦船が我が物顔で航行し、調査の妨害まがいの行動をしているのか。この映像を見て危機感、あるいは屈辱感を抱かない石垣市民、沖縄県民がいるだろうか。この現状を良しとする人がいるなら、明らかに感覚がおかしい。
 八重山でこうした異常事態が進行している一方で、東京の国会では、中国の人権状況を名指しで批判することもできない。日本はこの自己矛盾を何とかしないと、将来に大きな禍根を残すのではないか。
 日本の中国に対する経済的依存が進んでいるのは、身の回りにあふれる「メイドインチャイナ」の品々を見ただけで実感できる。多くの日本企業が中国に進出し、収益を上げている。
 日本が中国に対し、経済力、軍事力で圧倒的な遅れを取っていることはGDPや防衛費の数字で判明している。現実問題として、中国とは「けんかできない」と考えている日本国民も多いはずだ。だが、そんな状況だからこそ日本の矜持(きょうじ)が問われている。
 決議では、新疆ウイグル、チベット、南モンゴル、香港などの人権状況を挙げ「深刻な人権状況に象徴される現状の変更を国際社会に対する脅威と認識する」と指摘した。自国民の人権をないがしろにする国は、他国の権利も尊重しない。
 中国外務省は衆院の決議に対し「中国人民に対する重大な政治的挑発」と反発。日本側に厳正な申し入れを行い「さらなる措置をとる権利を留保する」と日本への対抗措置を示唆した。中国を名指ししない政治的配慮が果たして通じているのか、疑問である。

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