宮古島南西に位置する小さな島、来間島。西部の海岸(写真1)には、16世紀前半と考えられる中国産陶磁器が多数確認されている。内面に十字花文が描かれた青花皿も漂着していた。浜辺の散歩が楽しくなりそうである。
海底も同様だった。沖縄県立埋蔵文化財センターが調査したところ、青花を中心に青磁・白磁・褐釉陶器などが見つかったのだ。琉球王国の全盛期には、中国と琉球との間に多くの貿易船が行き交った。同時期の県の陸上遺跡で中国産陶磁器が多く出土することからも、それがうかがえる。
中には、悪天候や潮流の影響などにより、座礁・沈没したり、積荷などの投棄を余儀なくされた船乗りもいたのだろう。当時の航海には、様々な困難があったことが想像できる。
海底で見つかった中国産青花碗(写真2)には、外面にきれいな文様が描かれている。一部欠けているものの、あまり摩耗しておらず、資料として良好だ。この他にも、大きな花文が描かれた青花皿、細連弁文が描かれた青磁碗、青磁香炉などが見つかっている。
ただし、全部割れているのが本当に残念である…(写真提供=沖縄県立埋蔵文化財センター。同センター調査報告書第52集「沿岸地域遺跡分布調査概報Ⅱ ~宮古・八重山諸島編~」の記事を再編集いたしました)。