22日公示、7月10日投開票の参院選で、沖縄選挙区は玉城デニー知事の支援を受ける現職、伊波洋一氏(70)=無所属=と元総務省官僚の古謝玄太氏(38)=自民公認、公明推薦=による事実上の一騎打ちになる見通しだ。両氏とも新型コロナウイルス対策や沖縄振興策を政策の柱に据えており、米軍普天間飛行場の辺野古移設問題では伊波氏が反対、古謝氏が容認と立場が明確に分かれた。9月の知事選を占う前哨戦として激戦が展開されそうだ。
伊波氏は辺野古移設に反対する「オール沖縄」勢力に擁立され2期目を目指す。コロナ禍の中、今選挙では「傷んだ県経済、県民生活再生に力を尽くす」として時限的な消費税5%減税、子どもの貧困対策強化など、経済や福祉対策も前面に掲げた。
古謝氏は総務官僚としての中央官庁や地方での勤務、民間企業での勤務を経て「経験、人脈、ネットワークを培ってきた」とアピール。国、県、市町村の連携、離島・過疎地域での情報通信基盤整備による起業促進、健康長寿県復活などを訴えている。
沖縄を取り巻く安全保障に関しては、古謝氏が「対話だけでは平和は守れず、防衛力や日米安全保障などの抑止力を持つことが重要」と主張。伊波氏が「沖縄を二度と戦場にしない。米国の戦争に協力する日本であってはならない」と訴え、石垣島や宮古島への自衛隊配備にも反対している。
辺野古移設に関しては伊波氏が「軟弱地盤の技術的問題が解決されていない。私と知事が選挙に勝って辺野古を止め、普天間の返還に結び付ける」と強調。古謝氏は「現実的に工事が進んでおり、辺野古移設が最も早い普天間飛行場の危険性除去策だ」と容認を表明した。
2014年の知事選以降、県内の主要な国政、県政選挙は玉城知事を中心とする「オール沖縄」勢力と自公の対決を軸に展開されており、今選挙も同じ構図になる。
従来は辺野古移設が最大の争点とされてきたが、コロナ禍で経済や福祉政策に対する県民の関心が高まっており、辺野古移設への賛否がどこまで選挙に影響を与えるかが焦点。選挙結果は同じ対立の構図となる知事選にも大きな影響を与えそうだ。2氏は公示後の八重山入りも予定している。
沖縄選挙区には2氏のほか、いずれも新人の金城竜郎氏(58)=幸福実現党公認=、河野禎史氏(48)=参政党公認=、山本圭氏(42)=NHK党公認=、屋辰夫氏(70)が立候補を表明している。