石垣市議会の市役所新庁舎建設工事請負契約に関する調査特別委員会(百条委員会)の花谷史郎委員長は20日の市議会6月定例会最終本会議で審議の最終報告を行った。工事費を増額する契約変更や、新庁舎屋根の赤瓦に県外産が使用されたことに関し「違法性を認めるには至らなかった」などと結論づけた。
契約変更の際に作成された変更協議書に収入印紙が貼付されたなかったことについては、税務署や専門家に違法性の有無を照会したが「回答を得られなかった」と報告。契約変更の議案上程が工期末にまとめて行われたことも「違法性を認めるには至らなかった」とした。
最終報告では、赤瓦がすべて県外産になった経緯も明らかになった。それによると、建物の受注業者は赤瓦の施工業者を当初予定していた茨城県の業者から愛知県の業者に変更した際、赤瓦が県外産(愛知県産)になることも含めて市の承認を得たと認識していた。
一方、市担当者は赤瓦施工業者と工法の変更についての方向性を承認したものの、県外産赤瓦の使用は一部だと考えており、受注業者と認識にずれがあった。
市担当者が交代した際、赤瓦産地に関する引き継ぎが不十分だっため、後任の担当者は受注業者から2020年9月に施工計画書が提出されるまで、すべて県外産が使用される事実を認識していなかった。
中山義隆市長は、赤瓦がすべて県外産になったことを同年11月、議会の所管事務調査時に認識した。
市は県外産赤瓦が使用された理由の一つに、県内業者が製造を断ったことを挙げていた。だが、この事実を市に連絡したのは当初、赤瓦を施工する予定だった茨城県の業者だった。建物の受注業者は直接、県内業者に製造の可否を確認していなかった。
赤瓦が県外産となった手続きに関する資料は不存在。市と受注業者の認識の違い、市の新旧担当者の引き継ぎの不十分さもあったが、最終報告では一連の手続きについて「違法性は認められなかった」とした。
赤瓦の施工業者変更に伴う赤瓦使用差し止めの仮処分が工期延長の理由ではないかという指摘に関しても、影響を認めるには至らなかったとした。
花谷委員長は「国や県の指針や他自治体の事例などを調査研究し、議会上程のあり方を整理、見直し、今後このような事態を招くことがないよう努めてほしい」と注文した。調査報告は全会一致で承認された。
百条委は21年10月から今月まで計16回開催され、中山市長の証人喚問や市担当者の参考人招致、業者や関係機関に対する文書での照会などを行った。