潜水調査では、遺物が確認出来た場所に目印をつけ、散布している範囲を調べる(写真1)。海底に半分以上埋没している場合もあり、砂を払って遺物の確認を行ったり、2人がかりで連携を取りながら、GPSで位置記録を取ったりする。潜る時間が長くなるのも、むべなるかなだ。
ともあれ、努力の甲斐もあって、来間島沖の海底では、中国産青花皿、青磁碗、青磁香炉などを特定できている。大型の壺類も積んでいた船もあったと推定されている。
こうした散布は、竹富島沖でも同様だ。近世・近代の沖縄産の甕、壺、碗、急須などの陶器が多量に散布しているからである。中には、中国産青花皿も見つかっている。
そもそも、遺跡のあるサンゴ礁は、以前から地元の漁師の間で「カーミワリ」と呼ばれていたほどだ。「甕が散乱している」という意味で、聞き取り調査で確認出来た遺跡の1つなのだ。
なお、確認出来た海底の水深は浅いという。島を訪れる人は、シュノーケリングの候補先として考えておいても良いのではないか。
石垣島南西に位置する黒島(行政区としては竹富町に属する)沖合にも、同様に多数の沖縄産陶器が特に密集している状況が、沖縄県立埋蔵文化財センターの調査から確認出来ている(写真2)。
白化粧が施されており、藻や石灰が付着していることから、海底で岩の隙間にはまり込んでいたものと思われる。割れていない陶器があるのか、気になるところだ(写真提供=沖縄県立埋蔵文化財センター。同センター調査報告書第52集「沿岸地域遺跡分布調査概報Ⅱ ~宮古・八重山諸島編~」の記事を再編集いたしました)。