前回に続き、生産遺跡の紹介。西表島の魚垣に関しては、沖縄県立博物館による総合調査報告書で詳しく調べられている。また、小浜島の北西海岸から南にかけて魚垣が確認されている。数が多いのは珍しいそうだ。
なお、下地島から伊良部島にまたがる魚垣は、宮古島市の有形民俗文化財に指定されている。なお、宮古島の大浦湾北方には石切場跡がある。長方形に切り出していたことがうかがえる(写真1)。
沖縄には、古くから利用されてきた重要な港が多数ある。幾つかは、今なお県内や本土・外国とを結ぶ機能を果たしている。沖縄県立埋蔵文化財センターでは1644年に徳川幕府三代将軍・家光の命によって諸国の大名が献納した「正保国絵図」を参考に17世紀の時点で港として使われていた場所を調査した。その結果、陶磁器などの遺物が確認された。重要な港ほど今も利用されているので、調査が進みづらいのが難点だという。川平湾(写真2)は、石垣島の北西部に位置し、現在は国の名勝に指定されている。風や波の影響が少なく、船の停泊地として最適な場所だったと推定されている。
ここでどのような遺物が見つかったかについては、来週紹介したい(写真提供=沖縄県立埋蔵文化財センター。同センター調査報告書第52集「沿岸地域遺跡分布調査概報Ⅱ ~宮古・八重山諸島編~」の記事を再編集いたしました)。