竹富町の黒島豊年祭(同公民館主催)が20日、宮里海岸で開催された。島内の宮里、仲本、東筋、保里の4村によるパーレー競走や奉納舞踊が行われ、無病息災と五穀豊穣を感謝した。村対抗のパーレー競走は海上にある「フキ」(浮き具)を先に浜辺まで持ち帰る早さで勝敗を決する。終了後、参加者は会場に立った旗頭の周りで円陣を作り巻き踊りを披露。地域の安寧を祈った。
オンプールを済ませ、20日には宮里海岸で4村の旗頭が設置された。
東や南からの風が強い中、午前10時過ぎから始まり、今回から初めて果報人(かふぬし)を務めた東船道博昭さんが乗出(ぬーりじ)を行った。
午前中にパーレーを行う宮里と仲本が朝漕いで湾内に漕ぎ出し、それぞれの村の方角に向かい頭を下げ、豊年や参加者の幸福を願う歌を歌った。
パーレーでは、ウーニーと呼ばれる村の代表が長老から「杯取らし」を受けた後、互いの小指を結んだ状態で沖に向かって立ち、互いに指を離すと勢いよく走り出しで、スタートする。2人のウーニーは停泊する舟に乗ると参加者は村の誇りをかけ、沖にあるフキを目指した。
宮里と仲本の参加者が乗った2艇は、それぞれのトゥージ(回収役)がフキを問題なく手にでき、浜に戻る早さも大差がなかった。舟から降りたウーニー同士の競走が勝敗の鍵を握ったが、最初に仲本の宮澤勇気さん(22)が旗頭の間を抜けて戻ったため、同村の勝ちとなった。
終了後、宮澤さんは「和食店に勤務し東京都で住むようになり、故郷黒島の祭りの貴重さが分かった」と述べ、今回のウーニーは自分から志願したと明かした。「年1回、島にとって大事な伝統行事だ。将来は帰郷し島を盛り上げたい」と力を込めた。
長老役を務めた宮良哲行さん(78)は「島民だけで豊年祭はできないが、郷友会などの協力で開催できる。若い人材の参加はありがたい」と話した。
今回は石垣在黒島郷友会(約150人)を含む多くの関係者が参加。山城秀史副町長や次呂久成崇県議が祝辞を述べた。