【視点】感染再拡大 気引き締める時

 新型コロナウイルスが全国的に急拡大し、とりわけ沖縄、さらには八重山が深刻な状況になっている。ワクチン接種が順調に進み、重症者も少ないことから最近では感染を軽視する風潮も見られるようになったが、そうした気の緩みにつけ込まれていないか。改めて感染予防意識を徹底することが求められる。
 県内の新規感染者は14日まで3日連続で過去最多を更新し、連日、3000人台を記録している。八重山もここ3日間は200人~300人台で推移しており、全県の新規感染者の約1割を八重山だけで占めるという異常な状況だ。
 石垣市の新規感染者数を人口10万人当たりで換算すると3000人超で、石垣市が沖縄県並みの人口だとすると3万人以上の感染者が出ているに等しい。まさに天文学的な数字である。
 オミクロン株の派生型で、感染力が強力とされる「BA・5」への置き換わりが進んだことが最大の要因のようだ。同じタイミングで行動制限がなくなり、イベントも解禁されたことで感染拡大に拍車が掛かったとの見方が強い。
 だがこうした状況を見越し、県内でも率先してワクチン接種に取り組んだはずの石垣市で、なぜここまで感染状況が悪化しているのか。県疫学・統計解析委員会は、接種が早く始まったぶん、その効果も早く弱まってきている可能性があると分析した。
 別の見方もある。そもそもワクチンが「BA・5」に対し、発症予防効果を発揮できていないというのだ。いずれにせよ「接種を受けているから発症しない」という過信はもう通用しないということだろう。
 ただ、ワクチンの重症化予防効果は健在とされており、県は積極的な接種を推奨している。オミクロン株そのものも重症化率は低いとの見方が強い。感染者数が膨大になっても、軽症や無症状が多いのはそのためだ。
 しかし感染者の中には高齢者や基礎疾患保有者といった重症化リスクの高い人もいる。感染者数が収取がつかないほど拡大すれば、命の危険にさらされる人も増える。
 八重山圏域の病床使用率は9割を超え、中核病院である八重山病院14日現在で実に122%に達した。通常診療も制限されており、今、コロナ以外で重病や重傷の人が出ても十分に対応できないかも知れない状況だ。八重山の医療は破綻寸前と言っていい。
 住民は「重症化しないから大丈夫」といった甘い考えは捨て、マスク着用、ソーシャルディスタンス、手洗い励行など、基本に立ち戻って感染対策に取り組む必要がある。せっかく再開した経済活動を停止する必要はないが、経済活動と感染対策強化は常にペアで考える必要があるだろう。
 16日からは3連休が始まり、夏休みの旅行シーズンも本格化する。連休で人の移動が活発化するのに合わせて感染が急拡大する状況を、過去2年間、私たちはいやというほど経験してきた。今回の連休、気を引き締めて臨まなくてはならない。

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