石垣市の尖閣諸島周辺で1日に領海侵入し、操業中の日本漁船を追尾した中国艦船2隻が、尖閣諸島と石垣島の中間を越え、石垣島寄りの海域まで追尾を続けたと見られることが3日分かった。漁船に乗船していた石垣市議の仲間均氏(72)が証言した。
仲間氏によると、これまでの操業では、中国艦船は尖閣諸島と石垣島の中間で漁船の追尾を止めるのが通常だった。仲間氏は「中国船の行動がエスカレートしてきている」と警戒している。
仲間氏が乗船した「鶴丸」は1日午前3時40分ごろ、尖閣諸島周辺に到着。中国艦船「海警2301」「海警2502」は既に待ち構えており、鶴丸を挟み撃ちにするようにして追尾を開始した。海上保安庁の巡視船約10隻が鶴丸の警護に当たった。
鶴丸は午前7時ごろから正午ごろまで南小島周辺で操業したが、中国艦船2隻は執拗に鶴丸への接近を試み、一時、鶴丸との距離は約30㍍まで詰まったという。巡視船が間に割って入り、中国艦船の接近を阻止した。
鶴丸はエンジントラブルのため午後零時半ごろから石垣島に向け引き返した。しかし中国艦船2隻は尖閣諸島と石垣島の中間を越え、石垣島から約80㌔の海域まで鶴丸を追ってきたという。
尖閣諸島と石垣島の距離は約170㌔。鶴丸は午後9時ごろ、石垣島に戻った。仲間氏は3日、取材に対し「中国船は追尾の手を全く緩めなかった。尖閣周辺に日本の漁民を入れない戦略のように見える。今や、尖閣をほぼ手中に収めている状況ではないか」と指摘。
今後、市議会で抗議決議の提出も視野に入れる考えを示し「国は対策を考えるべきだ」と訴えた。警護に当たった海保に謝意を示すとともに、尖閣周辺海域への出漁を今後も継続する考えも強調した。
海保の発表によると、中国艦船2隻は1日午前3時15分ごろから尖閣周辺海域で領海侵入し、午後2時10分ごろ、領海外側にある接続水域に出た。