石垣市の中山義隆市長と東海大学の山田吉彦教授は1月31日午前に会見し、同月29、30日に行った尖閣諸島周辺海域の調査について、報道陣に説明した。中山氏は魚釣島を目視確認し「ヤギの食害が進んでいる。早急な対応が必要」と述べ、今後は「国の協力を受けた上陸調査が必要」とした。山田氏は「(魚釣島)東側の斜面は崩落が極めて激しく進んだ。島は末期症状」と話し夏期調査の必要性を訴えた。
山田氏は、繁殖したヤギによる食害で草木が著しく減少し「(魚釣島は)水をためる能力を失っている」と断言。西側海岸の漂着ごみの多さも危惧し「例年よりも多い。海洋環境が危機的な状況になり始めている兆候」と分析した。
固有種で絶滅危惧種の「センカクツツジ」について、山田氏は「花を咲かせた傾向がない」と述べ生態系の悪化を危惧。上陸し「環境調査を急ぐ必要がある。生態系を維持できない島になり始めている」と話し、早急な対応を求めた。
中山氏は「尖閣諸島は日本の領土だ。周辺海域を含め日本の領土・領海」と強調。石垣市の行政区画の利活用を目的にした調査だったと振り返った。
尖閣諸島は国有地であるため、中山氏は「上陸には国の許可がいる」として、政府の調査参加を期待した。
今後も石垣市は「ふるさと納税」を活用し全国から調査費用を寄付で募る。夏期も含め、数年間調査を重ね、より正確な情報を得るまで続ける意向。
石垣市の調査に合わせ、中国海警の船舶が尖閣周辺を航行したことについて中山氏は「国際法上認められる無害通航権の範囲外」と批判。続けて、「国は毅然と対応してほしい。中国は強硬姿勢なので国が守ってほしい。漁業者が安心して漁業に行ける状態にならない」と話し、政府に要望した。