県は世界自然遺産地域連絡会議の第2回西表島部会を15日午後、西表島の町離島振興総合センターで開いた。世界自然遺産になった西表島の環境を守るため、入域観光客を制限する観光管理計画案が審議されたが、委員からはより厳しい規制を求める異論が相次ぎ、結論を次回部会に持ち越した。
西表島部会で事務局の県自然保護課は、西表島の年間入域観光客数の増加を「前年度比で1割以上にさせない」ことを提案。過去10年間の平均値(年間33万人)と、新型コロナウイルスの影響を受ける前年の2019年(年間29万人)を具体的な数値として挙げた。
委員の渡辺信琉大准教授は「入域観光客数の制限はユネスコからも指摘がある。(以前の会議で)年間30万人程度としたはずだ」と指摘。既存の観光形態に当てはまらない観光を提供する事業者が既に島内で事業を行っているとして、想定以上の観光客が来島する可能性を危惧した。
参加した島民の1人は「全体的な上限枠は必要だ。それ以上増加させないという姿勢を示すべき」と要求した。
県側は、西表島を訪れる観光形態は「周遊型観光」と「自然体験型観光」の2種類に分けられると強調。「それぞれを把握するのは困難。年間の(入域観光客数の)総量を合算し基準を30万人として扱うのはふさわしくない。年間の総量としての基準値は設けない」と述べた。
会議では、この他、環境モニタリング評価の枠組みが説明された。「西表島モニタリング評価委員会(仮称)」の設置方針なども了承された。環境保護に関する行動計画について、管理成果の評価結果が報告された。