デジタル技術の活用で町民サービスを向上させようと、竹富町は「『わくわくする魅力あるまちづくり』を実現する町DX推進計画」案をこのほど策定した。来月3日開会予定の町議会3月定例会に上程する。多数の離島から構成され、町役場が石垣島にあるという町の特性を踏まえ、役場に来なくてもスマホなどで手続きができる「スマホの中にも町役場」などの取り組みを推進する。
同計画案では、暮らし、医療、福祉、教育、文化など、さまざまな分野でデジタル技術を活用する施策を掲げた。計画期間は2022年度から5年間。
「スマホの中にも町役場」の施策では、オンラインで申請、アンケート、契約、支払いなどができる仕組みや、オンライン行政相談、各島の公民館相互のネットワーク化も盛り込んだ。マイナンバーワードと離島割引カードの統合による利便性向上なども検討する。
デジタル技術を活用した通学路の安全確認、高齢者の見守り、オンライン診療、遠隔介護サービスなども推進する。
公民館でも家庭でも子どもが安心して学べる御乱学習環境整備、社会人の学びなおし(リカレント教育)機会創出に向けたオンライン教育の推進、島々の祭事、自然、方言などのデジタルアーカイブ化にも取り組む。
町内産業の「稼ぐ力」を育成するため、キャッシュレスやドローンなどの技術も活用し、観光客の誘客に向け最適化されたプロモーションも展開する。災害時には被災状況のリモート確認も導入する。
同計画策定に向け、町が22年9月に実施した町民アンケートでは、行政窓口のデジタル化に関し、導入を希望するサービスとして「役場の各種手続きや申請を自宅や外出先からスマホやパソコンで行う」が最多の68%だった。
次いで「役場窓口の手続きの際、押印や書類作成の手間を省き、一つの窓口で複数の手続きが完了できる」66・7%、「手数料の電子マネーやクレジットによる支払い」36・9%などだった。
有識者や町内各地区代表などで組織する同計画策定委員会(委員長・加賀谷陽平一般財団法人沖縄ITイノベーション戦略センター常務理事兼事務局長、委員14人)は22年8月25日から23年2月9日まで4回開かれ、計画案を取りまとめた。加賀谷委員長は2月9日、計画案を前泊正人町長に答申した。
デジタル活用によるまちづくりに向け、町は1月に「竹富町デジタルわくわく宣言」を発表。3月議会には、同計画案のほか、デジタル化の推進で「誰ひとり取り残されない持続可能な地域社会」をつくることをうたう「町デジタル化推進条例」案も上程する。