全国の海岸で漂着ごみの調査・研究を行っている防衛大学校名誉教授の山口晴幸氏は16日~20日、石垣島の海岸を調査した。漂着ごみを回収できていない海岸では、プラスチックごみが水に溶けないマイクロプラスチックに分解され流出している可能性があり「自然環境に悪影響を与える」と警鐘を鳴らした。
山口氏によると、八重山諸島の海岸では特に漁具(プラスチック)の破片や発泡スチロールが流れ着く例が目立つ。山口氏は今回の調査で、水に溶けないプラスチック粒子「マイクロビーズ」が海中に流出している可能性を指摘。顕微鏡を使わないと見えない細かさで、動物やプランクトンが食べてしまう恐れがあるという。
マイクロビーズは歯磨き粉や化粧水、洗顔剤にも入っており、下水処理のフィルターを通って流れて出ることがある。
山口氏は「漂着ごみは、すぐに回収する必要がある。ビーチクリーンは継続が大事。だが石垣島では清掃ができていない海岸も多い」と指摘。漂着ごみが深刻な例として、平久保崎灯台の下にある海岸などを例に挙げた。
プラスチックごみは海岸に漂着後、波や紫外線に長期間さらされ劣化する。マイクロプラスチックとなり浜辺や海に流れ、動物の体内に蓄積される。
山口氏は2016年3月から17年4月まで八重山諸島6島43海岸を調査。以後、定期的な調査を継続している。今年は石垣島のあと、与那国島に入り、今月末まで調査を行う予定。石垣島では北部や東部、西部を主に調査した。