沖縄県立八重山商工高校(仲山久美子校長)は、資格取得を支援する希望制の「朝講座」を実施している。「第二種電気工事士筆記試験対策」をはじめ、3つのカリキュラムを用意。計60人の生徒が朝早くから黙々と筆を動かし、難問と向き合っている。
「電流が中指、磁界が人差し指、力の向きが親指。これが『フレミングの左手の法則』。応用して大問2を解いてみよう」。
21日朝、第2級デジタル通信対策で、金城龍也教諭は分かりやすく設問の解き方を解説した。時刻は午前7時半。校門前の道路が同校、平真小、石垣第二中に通う児童生徒でごった返す時間帯より早い。まだ太陽も昇りきらない中、教室には「かりかり」とペンの音が響いていた。
「眠くても、将来のためなら頑張れる」。最も難易度の高い2級電気工事施工管理技士試験対策を受講する田島寛太郎君(3年)は決意を語る。
田島君は電気工事分野の仕事で管理職に就くことを目指しており、同試験で現役合格を果たすために受講を決めた。
試験では大学レベルの問題も出題されるため「難しい」と頭を抱えつつも、大量のメモで真っ黒になったテキストを開き、朝7時から机に向かう。
別の受講生は「朝早くて大変だけど、分かりやすくて楽しい。生活リズムも良くなって、夜は早く寝られる」と実感。朝講座が生徒に与えた影響は大きい。
講座は2021年度に開始。以前は学習したことを資格に生かせない生徒が多く、実業高校として課題を残してきた。授業でカバーできない資格取得に関する実践的な内容を朝講座で教えたことで、昨年は22人が第二種電気工事士に合格。実績を残した。
観光コースなど、講座とは関係ない分野を学ぶ生徒も歓迎。同コースの生徒が第二種電気工事筆記試験対策を受講し、ホテルの設備管理職に就いた事例もある。
また、受講生のうち、野球、サッカーなど練習時間の長い部活動に所属する生徒が多数を占める。講師陣の1人、平良大輔教諭によると、朝練習に参加できない分は放課後の練習時間を存分に活用することで、みな両立を図っているという。
「資格(取得)にも、部活にも、打ち込みたい子はたくさんいる」と、平良教諭。高校生の模範である文武両道の実現に意欲を見せる。
負担を軽減するため、講師は持ち回りで担当しているが「基礎からしっかりと教え、実践につなげる」(平良教諭)ことは共通のスタイルだ。今年度は60人の合格を目標に掲げる。
仲山校長は「朝早くから本当に頑張っている」と生徒や教職員をたたえた。