沖縄科学技術大学院大学(OIST、カリン・マルキデス学長)は16日、沖縄本島北部(やんばる)と石垣島で新種のゾウムシを発見したと発表した。琉球列島の固有種であるため、和名「リュウキュウカレキゾウムシ」と命名。石垣島では、九州大学総合研究博物館が1974年と91年に於茂登岳でゾウムシを捕獲し、標本として保存しており、OIST職員が調べた結果、沖縄本島で発見された新種と同種であることが分かった。
OIST研究チームは、2015年から沖縄本島各地に調査研究用の網を設置。甲虫やハエ、スズメバチなどの昆虫を捕獲し標本として観察を続けてきた。
22年、OISTに着任した昆虫学者のジェイク・H・ルイス氏が九大博物館の標本11個体と沖縄本島で発見された新種を比較し、同種と確認した。11個体のうち1個体は1974年に、残る10個体は91年に、それぞれ捕獲されていた。
新種は、ゾウムシの一種・カレキゾウムシの仲間だが、東アジアで確認されている他種とは異なる。両肩に黄色いしまが入っており、前羽には灰色や黒、黄色のうろこ片が生えた特徴的な模様を持つ。ルイス氏は、顕微鏡で背中や脚の下に長いうろこ毛があることも確認した。
この特徴は、東南アジアに生息する他種に近く、DNA解析で詳細な特徴が分かる可能性がある。
新種は沖縄本島の都市部では発見されておらず、石垣島では於茂登岳のような自然豊かな場所で発見された。OISTは同種について、琉球列島に住む他のカレキゾウムシ属よりも人為的な干渉に敏感であると見ている。
ルイス氏は「今回発見された新種は、ヤンバルクイナやオキナワトゲネズミなどのように、琉球列島固有の脆弱な種かもしれない」とコメント。沖縄の生物多様性について、研究が進むことを期待した。