家庭で本来は大人が行う家事や家族の世話などを担う子ども「ヤングケアラー」を巡り、県の調査で「世話をしている家族がいる」と答えた子どもが八重山で146人だったことが分かった。26日の石垣市議会一般質問で伊盛加寿美こども未来局長が報告した。他人に相談した経験がない子どもが小中学生で7割超、高校生で6割超となっており、伊盛局長は「ヤングケアラーと思われる子どもを把握し、必要な支援は何か検討することが重要」と述べた。
県の調査は小学5年生から高校3年生までが対象で、昨年9~10月、各学校を通してウェブ方式などで実施した。回答率は全県で34・7%。
石垣市の調査結果について仲嶺忠師氏がただし、伊盛局長は県が公表している八重山地域の回答内容を説明。「世話をしている家族がいる」と答えた児童生徒は小学生52人、中学生37人、高校生57人だった。
世話をしている頻度は「ほぼ毎日」が45%前後。「世話をしているためにやりたいことができない」と回答したのは「特にない」が小中高校生共に最多だが「自分の時間が取れない」が小学生15・4%、中学生21・6%いた。
「宿題や勉強する時間がない」と回答したのは小学生13・5%、中学生10・8%、高校生10・5%だった。
相談したことがない子どもに理由を聞くと小中高校生共に「相談するほどの悩みではない」が最多で「相談しても何も変わらない」「相談したいと思わない」という回答が年齢を重ねると高くなる傾向にあった。
石垣市の具体的なデータについて伊盛局長は「ヤングケアラーについては、子ども自身の思いや家庭への配慮も必要になるため、これから把握する調査結果の数値についての公表は控えたい」と述べた。
仲嶺氏は「教育現場の認識とずれがある。いち早く子どものSОSに気づいてほしい」と述べ「ヤングケアラーコーディネーター」の配置などを要望。伊盛局長は「県が今年度から一人を配置し、市町村に指導助言を行うとしているので、動向を確認しながら配置を検討する」と答弁した。
県は調査結果を受け「ヤングケアラー」が県内で約7450人いると発表。県内の小学5年生から高校3年生までの児童生徒13万6065人の5・5%に当たる。