台湾の国会議長に当たる立法院長の游錫堃(ゆう・しゃくこん)氏を団長とした訪問団が4日、台湾宜蘭県蘇澳から与那国島の祖納港に高速船で来島。糸数健一町長や超党派の議員連盟「日華議員懇談会」のメンバーから歓迎を受けた。游氏は、与那国島との将来的な定期航路開設に関し「一日も早く実現できるよう期待する」と話した。
現職の立法院長が与那国島を訪問するのは初めて。中国が台湾への軍事的圧力を強める中、台湾要人が日本最西端の与那国島で日台連携をアピールした形になった。
訪問団には台湾の立法委員、宜蘭県の知事、観光協会、交通・観光当局、産業組合、旅行会社などから幹部が約90人参加した。游氏は宜蘭県出身で、同県の港町で昔から与那国島と交流があった蘇澳からの出港を選んだ。
高速船は午前9時(日本時間10時)に台湾の宜蘭県蘇澳を出発。乗船した高速船は2時間後の日本時間正午前に祖納港に到着した。日本側は同港に臨時でCIQを設置。沖縄選出の衆院議員・西銘恒三郎、島尻安伊子両氏も出迎えに加わった。
久部良の多目的集会施設で昼食会が開かれ、糸数町長は台湾側に「与那国島に投資してほしい」と求めた。游氏は「与那国と蘇澳は111㌔しかない。観光目的の定期船就航を1日も早く実現できるよう期待する」と力を込めた。
また、故安倍晋三元首相の言葉「台湾有事は日本の有事」を引用。日本政府による東アジア地域全体での安全と国際秩序維持に期待した。
懇談後、糸数町長は取材に「これを弾みに、国にも引き続き(定期航路開設を)要請していく」と意欲を示した。
游氏は日華議員懇談会の古屋圭司衆院議員と久部良の西崎で合流し、日本最西端の碑などを視察した。古屋氏は「共通の価値観を持つ地域、国々で連携することが中国に対する牽制(けんせい)につながる」と指摘した。
游氏は古屋氏らと共に高速船に乗り込み、午後4時ごろに祖納港を離れ、台湾に戻った。
今年5月、台湾を訪問した自民党関係者と懇談した游氏は、蘇澳と与那国の航路開設に意欲を見せていた。
与那国町は今年度末に台湾の姉妹都市・花蓮市と同町を高速船で行き来する実証実験を計画しており、9月に国への補助申請を目指している。