石垣市は、開設を目指している台湾基隆とのフェリー定期航路の運航回数を週3~4回にできないか検討している。需要が見込めれば週5回の可能性もあり、1日1便の運航を想定する。今月上旬には、関係機関や企業関係者など19人程度で組織する検討委員会を設置。作業を加速化するため、検討会とは別に、庁内で総勢50人超の特命チームを近く発足させる。定期航路開設計画には既に複数の台湾企業が関心を示し、開設を契機にした石垣市進出を打診しているという。
検討委には内閣府、国交省、沖縄県、石垣市、沖縄振興開発金融公庫のほか、関係企業・団体の代表も加わる方向で調整。月1回のペースで開催する。会合は非公開だが、資料は市役所のホームページで公表する。
法制度の仕組み、航路開設に伴うビジネスプランの構想、国の補助制度に関する検討などを経て、中間報告書を作成。年末には市長に最終報告書を渡すスケジュールとする。
最終報告書には、定期航路開設の実現可能性や、実現が有望視される場合の開設時期の検討などを盛り込む方向。
定期航路開設に伴って、新たな条例制定が複数必要になる可能性がある。関連する予算の計上も含め、最終報告書の提出後にスムーズに手続きが進むよう、特命チームを中心に内部調整を進めることにしている。
定期航路の運航は、日本側で運航主体となる法人が台湾法人からフェリーをチャーターする形態を検討する。
市幹部は「中間報告書が出た段階で関連する業界団体に説明に回り、定期航路開設に伴う課題やニーズ把握に努め、誰もが利益を享受できる仕組みの検討を加速する」としている。
定期航路が開始されれば観光やビジネスの人流が活発化する。市は増加する交通需要に対応するためのオンデマンド交通導入、環境に配慮したまちづくりに向けたEV車の導入、ソーラーパネル設置、人手不足に対応したDXの推進など、さまざまな効果を予想する。こうした政策も最終報告書に盛り込まれると見られる。
台湾企業の石垣市への誘致、石垣市の企業の台湾への進出も支援する。規制改革も視野に入れ、現在、国に提案している「スーパーシティ構想」との連動にも期待する。
定期航路開設による経済効果を石垣市だけにとどめず、竹富町や与那国町とも連携し、八重山全体の経済発展につなげる方策を模索する。