小、中学校と高校は先月下旬から夏休みに入った。子どもたちにとっては、2学期まであと20日以上の自由時間が残っている。宿題もあるだろうが、大部分をただ目の前の遊びに費やすのではなく、将来に役立つ有意義な期間にしたい。
まず家庭学習の習慣は途切れさせないこと。1学期で家庭学習が不十分だった人は、休みを利用して、短くてもいいから毎日、継続的に勉強する習慣をつけたい。
1学期の復習をしたり、苦手だった科目を克服する絶好のチャンスだ。特に受験を控えている子どもにとっては、夏休みこそ集中して学力を伸ばさなくてはならない時期である。
そうした、いわば必要に迫られた勉強に限らず、夏休みは自分が関心を持つジャンルに没頭することも可能だ。読書や音楽などを漫然と楽しむのではなく「夏休み中にこの本を読み切る」「この曲を弾けるようにする」など、目標を立てて取り組んでほしい。
もちろん、夏休みが勉強漬けの日々になり、単に学校の延長線上になってはつまらない。
八重山は海や山などの豊かな自然に恵まれ、全国から垂涎の的となっている観光地だ。だが地元に住んでいると、案外、その良さに気づかないものだ。ふだんは行く機会が少ない場所を目指し、家族や友だちとキャンプやハイキングを楽しむのもいい。
八重山最大の年中行事である豊年祭は、夏休みのシーズンと重なる。8月下旬には旧盆があり、アンガマなどの伝統行事が繰り広げられる。自ら行事に参加する人もいるだろうが、そうでなくても、ぜひイベントを見学し、地域文化の奥深さを再認識する機会にしたい。
夏休みは遠方に住む祖父母など、ふだん会う機会が少ない親族と交流を温める機会でもある。高齢者の中でも、明治や大正生まれの人たちはもう稀な存在になっており、昭和一桁生まれの世代すら、今や80代後半から90代という状況を迎えた。
第二次大戦の激動の中で青春を過ごし、戦後日本の高度成長を背負った世代であり、現代の私たちの生活の礎を築いた人たちである。だが、じかに話を聞ける時間はもう限られている。
高齢の親族がいる人は、ぜひ夏休みのうちに、昔の日本や沖縄の話を積極的に聞いておきたい。
夏休みに限らないが、何も考えず、ボーっとして過ごす時間というものは、あっという間に消え去ってしまうのが常で。後には何も残らない。単に疲れを癒すだけならそれでいいが、多少なりともまとまった時間が確保できるなら、一瞬一瞬を大切に生きる心構えが求められる。