半世紀ぶり、よみがえる原風景 「水牛と一緒にいいお米を作りたい」 安川準也さん(西表島、祖納)

安川準也さんと水牛のクロちゃん=17日、西表島西部

稲作が盛んな西表島ではかつて、水牛が農耕用として活躍していたが、今では観光用をのぞいて水牛をみることがなくなった。そのような中、西表島西部地区で水牛を使った稲作を復活させる試みが始まった。かつての農耕を知る地域住民からは「50年近く途絶えた風景がよみがえった」などと感激の声があがっている。
「西表島の原風景を復活させたい」そう語るのは、このほど1頭の水牛を導入した西表島祖納在住の農家、安川準也さん(37)。愛知県出身の安川さんは、西表島で農業をする夢を叶えるために2年ほど前に祖納に移住し、地域の青年部長も務めている。農業については地域の年配者らから学んできたが、中でも石垣金星さん(故人)が水牛を使った稲作を復活させようとしていことを知り、これが今回の水牛導入のきっかけになった。
安川さんが導入した水牛は雄牛のクロちゃんで、最近まで竹富島で観光用として活躍していた。推定年齢は15歳ほどで、大きな角と黒い体がチャームポイントのヨーロッパ系の水牛だ。貨物船で上原港に上陸後、トレーラーに乗り換えて安川さんの田んぼに到着、疲れもみせずに泥遊びに興じていた。動物好きだが水牛の世話は初めてという安川さんは、水牛の世話経験がある地域住民から指導を受け、クロちゃんの調教に日々奮闘中だ。
「この田んぼは金星さんが人力でクルバシャを曳いていた場所なので、そこに水牛が復活するのは感無量。クロちゃんも思った以上に懐いてくれて可愛い。一緒に働いてもらって、いいお米を作りたい」と熱意を語った。

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