米軍佐世保基地(長崎県)所属の掃海艦パイオニア(チェイス・ハーディング艦長)が7日午前9時ごろ、石垣港に寄港した。米艦船の石垣寄港は14年ぶり。乗員の休息と補給が目的としており、台湾有事をにらんだ動きとの見方も出ている。反対する市民や野党市議など約30人が新港地区クルーズバース周辺で抗議活動を行ったが、目立った混乱はなかった。同艦は7日午後3時に出港する予定。
パイオニアは機雷の探知、識別、処分ができる小型の軍艦で、遠隔操作ができる無人潜水艇や船内から海中に降ろす特殊なソナーなどを装備している。米側によると将校12人、下士官70人が乗船し、直前にはうるま市のホワイトボーチに寄港していた。
ハーディング艦長は石垣港で記者会見し「日米同盟はインド太平洋地域の平和と安定の維持する礎。石垣港でのパイオニアのプレゼンス(存在感)は、同地域の平和と安定を守るための米国の責務の表れだ」と指摘。「パイオニア」の任務については「攻撃を行わず防衛任務を行う船」と強調した。
一部の乗員は同日午後から順次下船し、市内の観光を行った。
一方、寄港に反対する市民は、緊急時の入港以外、民間港の使用は認められないと反対の声を上げた。
6日午前から、市の委託を受けた民間業者がクルーズバースの駐車場を囲むように高さ2㍍程度のフェンスを設置。関係者以外の立ち入りは制限された。全港湾の関係者数人は朝まで現場に残ったが、入港の約1時間前、石垣市や八重山署の要請に従い、現場から退去した。
全日本港湾労働組合(全港湾)が座り込みや自宅待機を行うとの観測が流れていたが、関係者によると7日午後から通常業務を行っており、物流などに影響は出ていない。
7日正午過ぎにチェイス艦長は通訳、米側の関係者と共に車でクルーズバースから出た。反対派の市民や野党市議が抗議の声を上げ、横断幕を掲げたが、路上に飛び出すなどの危険行為はなかった。
掃海艦パイオニアは6日に寄港予定だったが、天候の影響で7日に変更された。