防衛省は、陸上自衛隊石垣駐屯地の西側にある民有地を2024年度に取得し、施設用地を拡張する方針を固めた。14日の石垣市議会一般質問で翁長致純総務部長が「(沖縄防衛局から)警備訓練、新隊員の教育、災害対処訓練で使用する計画と説明を受けている」と報告した。中山義隆市長は、防衛省が取得予定の土地が民有地であることを理由に「市は直接的には関わらない」とした上で、今後、駐屯地用地がさらに拡張した場合について「市のまちづくりにふさわしいのか、話があった時点で判断して適切に対応したい」と述べた。
駐屯地用地の拡張は野党の花谷史郎氏が取り上げた。「市民生活への影響を最小限に抑えられるか、インフラを含めてどこまでの人員まで受け入れ可能か、市として一定の基準を持つべきではないか」と求めた。拡張予定の民有地が八重山農林高校の実習地と隣接しているとして懸念も示した。
翁長部長は、駐屯地の拡張計画について「報道で知った」とした上で「現時点で詳細な説明を受けていないので、今後の影響については答えられない。防衛省から具体的な計画が示されれば協議し、必要に応じて市民に周知を図りたい」と述べた。
北朝鮮のミサイル発射に備え、駐屯地内に展開している地対空誘導弾パトリオット(PAC3)に関し花谷氏は、発射時に地上で「バックファイヤー」と呼ばれる衝撃や火花が発生する可能性を指摘。「市民生活にどこまで影響があるのか、防衛省と情報共有して広報する必要がある」と求めた。
中山市長は「バックファイヤーで基地の外に影響があるなら防衛省から周辺に説明しなければならないが、影響が駐屯地内とどまるなら、特に説明する必要はないだろう。基本的に説明できるところは説明してもらって市も情報を共有したい」と述べた。
また、PAC3の展開に伴って駐屯地内の工事が一時中断されたとした上で「駐屯地内には業者も入っており、PAC3の周辺に民間人が入ることは良くないので、工事を止めたと認識している」と指摘した。