石垣空港で14日朝、滑走路付近の緑地帯で雑草の伐根作業を行っていた重機が故障して動かなくなり、石垣発那覇行きの2便が欠航するトラブルが発生した。市空港課によると、401人に影響が出た。富浜公雄課長は「利用者の多い空港でこのような事案が起こったのは残念。再発防止に努める」と陳謝した。
空港課によると、同日午前2時半ごろ、滑走路付近に自生した雑草「ギンネム」を除去していたユンボが突然停止し、着陸帯I「T4」から南に30㍍程度離れた地点で動かなくなった。作業は民間業者に委託し、同課の職員も立ち会っていたが、深夜で重機リース会社が閉店していたことから修理が困難と判断し、同日早朝に会社に連絡すると決定。
朝7時50分ごろに問い合わせた上で、8時ちょうどに滑走路の運用停止を通告した。これを受け、8時半ごろに石垣に到着する予定の那覇空港発ANA1761便、JTA601便はいずれも那覇へのリターンを強いられた。両便は折り返し那覇へ向かう行程だったが、欠航となった。
8時55分に整備士とクレーン車が到着し、部品の取り換え作業を実施。ユンボは自走し、9時23分に移動が完了した。滑走路の閉鎖は解除され、運航は1時間34分遅れで再開した。
一方で、消防、警察への連絡などの手段があったにもかかわらず、対応を朝まで先延ばし遅延を発生させた空港課のずさんな危機管理体制が明らかになった。
空港事務所内で会見した富浜課長は「夜中のうちは明るさが足りず、ユンボが運航に障害をきたすか分からなかった。問題ないのであればそのまま運航することもできたが、こうした事態をあらかじめ想定していなかったので初動が遅れた」と釈明し、大勢に影響が及んだ事態を陳謝した。
除草作業はパイロットから航空会社を通じて「雑草が視界を邪魔して、滑走路上の標識が見づらい」と指摘があった上、鳥の休息場所になるのを防ぐため10月から実施していたが、再発防止策がまとまるまでは一旦中断するとした。
空港課によると、同様の事例が発生するのは、石垣空港では初めてだという。
空港ターミナルでは、予約の変更を求める旅客が殺到し、窓口前に長蛇の列ができるなど混乱が生じた。
島外に出張に向かう予定だった石垣市内在住の男性(40代)は「8時ごろに荷物を預けて待合室にいたら、急きょUターンすることになった。こんな経験は初めてだ。予定を変えないといけない」と困惑した表情。石田智子さん(60)=大阪市阿倍野区=は「与那国に5人でツアーに行くつもりだった。飛行機は様々な理由でよく止まるね」とため息をついた。