地域外交で「平和創造拠点」に 県に提言、委員長「攻めの姿勢を」

地域外交の提言書を玉城知事に渡す君島委員長=18日午後、県庁

 県が設置した「地域外交に関する万国津梁会議」の君島東彦委員長らが18日、県庁を訪れ、玉城デニー知事に対し、沖縄が地域外交を通じて、アジア・太平洋地域の平和構築に貢献する「国際平和創造拠点」を目指すべきとする提言書を渡した。沖縄周辺では中国が軍事活動を活発化させており、台湾有事などの懸念が高まっているが、君島委員長は「地域外交には抑止力がある。平和をつくるため攻めの姿勢を示してほしい」と求めた。玉城知事は今後、地域外交基本方針を策定し、新年度から地域外交を加速させる考えを示した。

 同会議は大学教授や元県職員など10人で構成。昨年9月から4回の会合を開き、提言を取りまとめた。
 提言では、地域外交を通じ「世界とつながり時代を切り開く『強くしなやかな自立型経済』」「世界の島しょ地域等との国際協力活動と国際的課題に貢献する地域」を目指すとの目標も盛り込んだ。
 地域外交の主な対象国としては東アジアや東南アジアを想定。このうち中国については「さらに友好関係を緊密なものとすることで、地域の安定に貢献できる可能性がある」とした。
 海外の地方自治体と連携し、東シナ海での軍事力行使抑制を求める共同声明「東シナ海平和ビジョン」(仮称)を発表することも提案。慰霊の日の6月23日を「日本を代表する平和の日」として国際社会に認知させるための取り組みも求めた。
 県立万国津梁情報交流センター、国立アジア・太平洋他文化共同センター(いずれも仮称)の設置も提唱した。
 米軍基地問題に関する要請活動など、課題によっては県益と国益が相反する可能性もあると指摘。「十分な検討・調整が必要になる」と記述した。
 提言書を受け取った玉城知事は「提言を踏まえて基本方針を策定し、24年度からは基本方針に沿った地域外交を展開していきたい。平和を希求する沖縄の心を、国際的な価値観とも十分に連携し得るものにしないといけない」と述べた。
 県は地域外交を組織的に進めるため、24年度に「地域外交統括監」(仮称)のポストと「平和・地域外交推進課」(仮称)を新設する方針を決めている。

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