先月31日から今月2日までの日程で石垣島の周辺海域で停泊している海上自衛隊最大の艦船「いずも」に1日、八重山防衛協会の関係者や一部の市議が乗艦し視察した。10人以上が乗艦し、艦長の石寺隆彦1佐ら幹部と面会した。同艦は2日午後までに石垣を離れた。
視察時間は約1時間で、1日午前に行われた。搭載艇で30分ほどかけて石垣港から名蔵湾に停泊する「いずも」に向かった。艦橋などを見て回った。
「いずも」は、設計当初から政府要人などが乗艦し執務ができるよう艦内が整備されている。過去には災害対応で派遣された実績もあり、防衛省・自衛隊以外の人員が多数利用できるよう艦内は広く造られている。歯科治療から手術、集中治療まで可能な病院船機能も有するため、今回の視察でも協会関係者が確認した。
「いずも」は、自衛隊に配備される予定のステルス戦闘機「F35B」の運用を目指し改修が行われており、既に第1回目が完了した。同機は高温なジェットエンジンの噴流が機体下部に向かい垂直に流れる仕組みであるため、その熱に耐えるよう甲板処理が必要だった。
今回の視察では、海自側から「処理は行われた」と説明があった。加えて、甲板部分には滑走路となる黄色いラインが引かれていることも確認した。
高良宗矩市議も乗艦しており、直後に自身のSNSアカウントで報告。「防衛省・自衛隊による日本国民を守るための献身的な活動に対し、心から感謝申し上げる」とコメントした。
「いずも」の改修は2027年度まで行われる予定。艦載機となる「F35B」の自衛隊向け初号機が24年度末までに納入予定で、部隊は宮崎県の新田原基地に新設される予定。将来的な計画としては、同基地から飛び立った同機10機程度が洋上で「いずも」に着艦。そのまま沖縄近海などに派遣され、防空や島しょ防衛を担う。
「いずも」は8月27日に横須賀を出航後、日本初寄港だったイタリア海軍の空母「カブール」など豪伊独仏の艦艇と共に共同訓練を実施しながら沖縄地方まで航行、最終的に石垣沖に停泊した。
防衛省は異例とも言える早さで訓練概要を公表し国内の報道機関が報じた。「いずも」が西側諸国の艦艇とともに台湾に近づきながら演習を行ったことで台湾侵攻を図る中国をけん制した。
「石垣島の平和と自然を守る市民連絡会」は「いずも」の停泊に対し「『最前線』での戦争準備ととらえられ、緊張を高める」と抗議する声明を出した。