石垣を「熱帯果樹ランド」に 新規作物の栽培支援へ

市は熱帯果樹の新規作物を新たな特産品に育てる取り組みに着手する(写真はマイヤーレモン)=市農政経済課提供

 石垣市はアボガドやドリアンなど、これまで市内での栽培実績がほとんどない熱帯果樹を新たな特産品に育てる取り組みに着手する。10月以降、生産者対象の栽培講習会を開き、苗の購入費用を助成するなどの支援策を進める。市農政経済課の担当者は「自然豊かな亜熱帯性気候の石垣島には地の利がある。いろいろな品目が栽培されるトロピカル・フルーツランドを目指したい」と期待した。

 石垣市で栽培される熱帯果樹としては、パインやマンゴーが知られている。だが、アボガドやドリアンなど、市場がよりニッチ(狭小)な作物に関しては、一部の生産者がJAの「ゆらてぃく市場」などに少量を出荷しているだけで、正確な生産量も把握されていない。
 同課は、こうした熱帯果樹の生産者を集めて講習会を開き、人材育成や新規参入の機会を創出しようと「新規作物チャレンジ畑人事業」を開始した。
 支援対象の品目はアボガドやドリアンのほか、パッションフルーツ、オリーブ、ヘナ、バニラビーンズ、マイヤーレモン、ピパーツ、島バナナが候補に挙がっている。一部は沖縄本島でも徐々に生産が拡大しており、同課は「将来有望」と見る。
 ただ、いずれの作物も市内の生産者は1~10人程度。通常は行政による支援の対象にはなりにくい。一般財源では補助メニューがないため、市はふるさと納税の「まちづくり支援寄付金」から500万円を確保し、講習会や苗購入の費用に充てる。
 講習会は熱帯・島嶼研究拠点(熱研)などから講師を招いて開催する予定で、生産者に栽培技術を指導する。今後、開催時期や会場などの調整を進める。
 熱帯果樹を普及させる上で、苗が高額であることが課題の一つとされる。苗の購入を支援することで初期投資の負担軽減を図り、新規参入を促進する。
 当面、事業への参加を想定しているのは「ゆらてぃく市場」に熱帯果樹を出荷している生産者約25人。講習会の申し込み状況に余裕がある場合は、関心がある一般市民の参加も受け付ける予定。
 熱帯果樹は植え付けから収穫まで数年かかるものもあり、事業の実績を生産量のみで判断するのは難しい。このため同事業では「人材育成」を成果の指標とし、講習会参加者20人、新規作物導入者5人を数値目標に掲げた。
 同課の米城茂朋主事は「作物によっては協議会設立も視野に入れたい。事業を足掛かりとして、新規作物に取り組む人が増えれば」と話した。

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