衆院選は27日の投開票まで選挙戦を1日残すのみとなった。自民党は「裏金」問題で厳しい逆風にさらされており、最終盤の情勢を分析した報道各社の世論調査では、自公が過半数割れする可能性を指摘するものも出ている。いずれにせよ立憲民主をはじめとする野党の躍進が予想され、衆院選後の政局は、一気に緊迫感を増しそうだ。
仮に与党が過半数を確保できなかったり、過半数ギリギリだった場合、与党は政策が近い他の政党にも協力を求めないと政権運営ができない。
現段階で、早くも維新や国民民主の連立政権入りが取り沙汰される。だが維新の馬場伸幸代表、国民民主の玉城雄一郎代表とも、自公との連立を否定。ただ政策ごとに是々非々で政権に協力する「部分連合」に関しては含みを残した。
安倍晋三元首相が政権を率いた「安倍一強」時代、自公は国際的にもまれにみる長期安定政権を築いた。だが今後、国民は政治、社会、経済の不安定性、不確実性が増す時代に備える必要がある。
石破茂首相は自民党総裁選までは早期解散に懐疑的だった。だが総裁に当選すると首相就任から戦後最速の8日で衆院を解散。内閣発足早々の「ご祝儀相場」で支持率が高いうちに衆院選で勝利し、政権基盤を固めたい思惑は明らかだった。
ところが有権者は、そうした首相の戦略を見透かし、逆に有言不実行だと不信感を強めた。
短かった国会の論戦で「石破カラー」が見えにくかったこと、安倍元首相を「国賊」と呼んだ人物を閣僚に起用するなど、安倍氏にシンパシーを抱く保守層の反感を買ったことも響き、期待とは裏腹に、内閣支持率は発足直後から低調だった。
首相は「裏金」に関わった議員らを非公認とし、重複立候補を認めない厳しい処分に踏み切ったが、有権者の理解は深まらなかった。しかも選挙戦の最終盤、非公認の候補が所属する党支部に自民が活動費を支給していたことが明らかになり、野党は批判を強めている。
報道各社の世論調査は選挙戦序盤、自公の過半数確保を楽観視していた。しかしここへ来て、報道は「過半数は微妙」または「過半数割れに現実味」という見出しに変わってきた。
沖縄の選挙情勢を見ると、自民候補に対して野党候補が一本化できなかった4区を除き、報道各社の世論調査はおおむね、1、2、3区とも「オール沖縄」勢力の候補の優勢を示している。
「オール沖縄」勢力は前回2021年衆院選で、4選挙区を自民党と2勝2敗で分け合った。
だが今年の県議選で大敗し、玉城デニー県政のレームダック(死に体)化が進行。「オール沖縄」運動そのものの終焉も避けられないと見られていた。しかし衆院選で自民党に勝ち越せば、2年後の知事選を前に、勢いを取り戻す可能性がある。