「戦後80年、沖縄から考える対米独立への道」をテーマにした保守思想誌「表現者クライテリオン」編集委員らによるシンポジウムが3月30日、那覇市の県市町村自治会館で開かれた。日本の沖縄政策や、トランプ米政権との向き合い方を議論した。
登壇者は司会の藤原昌樹沖縄国際大・沖縄大非常勤講師と藤井聡京都大大学院教授(表現者クライテリオン編集長)、柴山桂太京都大大学院准教授(同誌編集委員)、浜崎洋介京都大経営管理大学院特定准教授(同)、川端祐一郎京都大大学院准教授(同)。
沖縄問題に関し、地元からの登壇者である藤原氏は「県民は日本人でありながらウチナーンチュというアイデンティティの多層性を持っている。それが基地問題で『本当に我々は日本国民として受け入れられているのか』という疑問を持たざるを得ない場面に直面している。日本は、国民国家に沖縄をちゃんと位置付けてくれているのか」と問題提起した。
藤井氏は沖縄戦について「県民は『銃後』ではなく『銃前』に出て戦った。本土決戦とは違う。本土とは、ある種の温度感の違いがある」と分析。
沖縄問題に関し「日本の最も地政学的な危機は尖閣と台湾。日本が滅ぶかどうかの現場が沖縄になる」とした上で「県民と非県民の日本国民で日本を守るプロジェクトをやれば、第二次大戦で生じた、沖縄と日本のある種の分断が解消できるのではないか」と提案した。
トランプ政権による関税発動について柴山氏は「欧州では米国製品のボイコット運動が始まっており、これがまともな国。何の制裁もしないと、負けを認めたことによる。日本は戦う気さえない」と米国に対抗しようとしない政府の姿勢を批判。「このままいけば5~10年間で最も国益を失うのは日本だ」と危ぐした。
50年後に日本経済の規模が世界の中位群に後退するとの予測を紹介。経済衰退が続けば「日本円では全くモノが買えなくなり、凄まじいインフレに苦しむことになる。そういう現実を踏まえれば、腹をくくって何とかしようというエネルギーも生まれるのではないか」と述べた。
川端氏は「日本人は、真心をもって接すれば渡る世間に鬼はないという世界観を生きている。そういうお人よしのところは好きだが、それだと(現在の国際社会では)死んでしまう。ある程度自分を捨てることも日本人には必要かもしれない」と指摘した。
一方、浜崎氏は「トランプ政権は危機だが好機にもなる。ドイツもフランスも自立への道を歩み始めている。我々はようやく主体的決断ができるようになった」と強調。トランプ政権誕生は対米依存から脱却するチャンスとの見方を示した。