「御後絵」きょう初の一般公開 琉球国王肖像、6月から修復 沖縄県立博物館・美術館

一般公開される御後絵の原本=21日午後、県立博物館・美術館

 沖縄戦で米国に流出し、2024年に返還された歴代琉球国王の肖像画「御後絵(おごえ)」の一部が22日から、那覇市の県立博物館・美術館で初めて一般公開される。これに先立ち、県教育委員会は21日に御後絵を報道陣に公開。「絵の状態が非常に悪く、これから修復作業が始まる。今のうちに県民に原本を見てほしい」と呼び掛けた。

 24年に米国から県に返還された文化財は22点で、このうち御後絵は6点だったが、6点のうち1点は、もともと1枚だった絵が3分割されている。
 一般公開されるのは3分割された絵のうち、中央の国王を描いた部分。もともと120㌢四方の絵だったと見られるが、分割され縦97・6㌢、横30㌢の大きさになっている。
 その他の3点の御後絵はいずれもサイズが大きく、ガラスケースに入れて展示できないため、今回の一般公開は見送られる。
 県教委の分析では、御後絵には唐紙、裏打ちの紙には美濃紙が使用され、製作された1850年代の琉球王国の様式と一致した。
 描かれている国王は、玉冠(タマンチャ―ブイ)ではなく烏紗帽(ウサンモー)を着用していることから、中国から冊封を受けていないと見られる。県教委は17世紀に在位した第9代国王尚賢か、弟の第10代国王尚質のいずれかだと推測している。
 県教委文化財課文化財班の濵地龍磨主任は「大型の唐紙は冊封下の琉球でないと入手できなかった。当時の琉球の『地の利』を肌で感じてもらえれば」と話した。
 御後絵は戦前まで尚家に20点ほど存在したと見られ、10点の写真が残されているが、沖縄戦で米軍に奪われ散逸。23年3月、米国の元軍人宅で御後絵を含む沖縄の文化財22点が発見されていたことが分かった。
 このうち、3分割された御後絵は国王の顔の部分が見えにくくなっていたり、一部に額装された跡があるなど、損傷が激しい。
 県は有識者会議で修復方法などを検討し、6月から御後絵の修復作業に入る。修復には6年ほどかかり、その間、一般公開されることはないという。
 県はほかにも沖縄戦で琉球王国の文化財が米国に流出した可能性があるとして、米国FBIに捜索を要請している。
 御後絵の一部は、県立博物館・美術館で5月まで開催中の「御後絵と琉球絵師の系譜展」中の企画展として22日から30日まで一般公開される。

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