石垣港では近年、海上自衛隊の艦船や船舶の寄港が増加している。今年は4月までに訓練支援艦や護衛艦、掃海艇、水中処分母船などが寄港。昨年は海自最大の艦船「いずも」が石垣島の沖合に停泊した。在日米海軍も1年に1回のペースで艦艇を派遣している。台湾有事が危惧される中、抑止力を示す上で、石垣港は既に日米両艦船にとって事実上の拠点港として機能している。
台湾有事を想定し、政府は明言を避けながらも自衛隊による事実上の抑止力・対処力の向上を図っている。
2024年度からは石垣港を特定利用港湾に指定。自衛隊と海保が円滑に艦艇の接岸や物資輸送ができるよう制度を整えた。
指定後の同年8月末に「いずも」は欧州各国の艦艇と訓練を行いながら沖縄近海まで航行後、石垣島の沖合に停泊。防衛協会など一部の市民に公開された。
米海軍も年度末が近づく今年2月に輸送揚陸艦「サンディエゴ」を寄港させ、報道公開した。前年にはイージス艦も寄港させている。
中国は台湾で昨年1月に就任した頼清徳総統を敵視し、台湾の海上封鎖を狙った軍事演習を繰り返している。空母を含む複数の艦艇や無人機を使用し、沖縄を含む台湾周辺の海空域で行動を激化させている。
今年9月をめどに石垣市は台湾との間で、定期船航路を開設させる。既に石垣港は、海保の尖閣専従部隊が母港として使用するが、今後は台湾航路の安全を維持する上でも重要な港湾となる。
台湾周辺海域への航行は、台湾有事が起こった場合に妨害される可能性が高く、中国による機雷の敷設なども危惧される。
今月に寄港した掃海艇「くろしま」は機雷の除去を担当する艦艇。29日に石垣港を離岸した水中処分母船は、水中で活動する専門隊員の母船となる。2隻とも沖縄本島に母港があり、昨年と同じ時期に入港した。海保だけに加え海自の存在感も増している。
八重山防衛協会の米盛博明会長は取材に対し、石垣島への海自誘致計画に言及。海自艦の寄港数増加を見据え「しっかりとした岸壁の整備が必要」と訴えた。