沖縄県が2026年度の導入を目指す観光目的税の宿泊税を巡り、観光関連団体でつくる沖縄ツーリズム産業団体協議会と石垣市など5市町村は1日、玉城デニー知事に対し、当初の予定通り県議会6月定例会に条例を提案するよう要請した。玉城知事は4月、宿泊税の制度設計を再構築するため、6月定例会への条例提案を見送る意向を表明していた。同協議会と5市町村は「これまで積み重ねてきた議論の趣旨に反する」と方針転換に猛反発しているが、玉城知事は条例の提案時期を明言しなかった。
宿泊税に関し、玉城知事は4月25日の定例記者会見で「離島住民、県民の課税について課税対象外、課税免除の可能性をさらに検討する必要がある」と発言。地域住民を課税対象外とした広島県廿日市の宮島訪問税を参考に、全県民を課税対象外とする可能性に言及した。
制度設計の再構築に時間を要するとして6月定例会への条例見送りも表明し、26年度の宿泊税導入が不透明な状況になっていた。
この日は同協議会のメンバーと、観光目的税を独自に導入する予定の石垣市、宮古島市、本部町、恩納村、北谷町の首長らが県庁に玉城知事を訪問した。
同協議会の下地芳郎会長(沖縄観光コンベンションビューロー会長)は「観光目的税導入は十数年前から何度も議論を重ねて導入を決めた。本来の趣旨に立ち返り、6月定例会にしっかり条例を上程してほしい」と要求。
ホテル関係者は「県民は課税免除にすべきということは、さんざん議論した。議会に条例を提案しない限り、同じことの繰り返しだ」と批判した。
本部町の平良武康町長は「知事がリーダーシップを発揮してもらいたい。宿泊税導入は一刻も先送りできる状況にはない。離島住民には丁寧に説明しながら進めてほしい」と、予定通り26年度から宿泊税を導入するよう訴えた。
恩納村の長浜善巳村長は「離島の思いをくまないといけないことは理解するが、万が一、一定の時間を要するなら(5市町村の観光目的税導入を)先行事例として後押ししてほしい」と求めた。石垣市からは知念永一郎副市長が要請に同席した。
玉城知事は、離島住民の負担軽減を求める市町議会の要請が再検討のきっかけになったとして「全国の事例を踏まえ、一定程度検討する必要があると考えた」と説明。「県民に十分に説明し、理解を得ることが必要。お詫びを申し上げながら、議論の時間をちょうだいしたい」と述べた。