石垣市の中山義隆前市長(58)=自民、公明推薦=の失職に伴う出直し市長選は17日投開票され、中山氏が1万2923票を獲得、新人で前市議の砥板芳行氏(55)に1799票差をつけ、市政史上初となる5選を果たした。台湾航路開設事業をはじめ、中山氏が推進した主要事業が継続される。中山氏は自衛隊や尖閣諸島問題への対応など、自公政権との連携を重視した安全保障政策にも引き続き取り組むことになりそうだ。
今選挙は国保特別会計を巡る文書改ざんを受け、市議会で不信任決議を受けた中山氏が失職後、再出馬した初の出直し選。前回2022年市長選に続き、中山氏と砥板氏が一騎打ちの激戦を展開した。投票率は63%で、前回市長選を7・54ポイント下回り、過去最低となった。
中山氏は過去4回の市長選と同様の自公選挙協力体制を構築し、基礎票で優位に。台湾航路開設、ゴルフ場建設推進など、在任中に進めた事業の継続を訴えた。
「島を守る、人を守る」をスローガンに掲げ、4期15年の実績を訴えて多選批判をかわした。
砥板氏は「変えよう長期政権」「市民ファースト」を掲げ、中山氏の多選や、失職に至った経緯を厳しく批判。革新層を支持基盤としたが「オール沖縄」は名乗らず、行き過ぎた革新色を抑えて保守中道層にもアプローチした。
だが革新層以外への浸透が進まず、接戦に持ち込んだものの、前回市長選に続く苦杯をなめた。
中山氏の当選で、株式会社商船やいまが事業主体となって進めている台湾航路開設は、今秋の就航実現へ前進する。
中山氏は今後、県の開発許可や農地転用許可が出た株式会社ユニマットプレシャスのゴルフ場建設計画も、企業側に早期着工を働き掛けると見られる。
自衛隊石垣駐屯地の増強、日米共同訓練には自公政権と連携して柔軟に対応。台湾有事をにらんだ国民保護計画は政府にさらなる内容の充実を求める考えだ。
尖閣諸島問題では、周辺海域の現地調査や、政府への上陸許可申請など、在任中から進めてきた実効支配強化の政策に今後も取り組む。
中山氏の当選で、県内11市では「オール沖縄」勢力の支援を受けた市長が引き続きゼロに。市長選の結果は来年の知事選にも影響しそうだ。