【日報の本棚】 誤解だらけの沖縄と領土問題 八幡和郎 著

同書は255ページ。定価907円+税。

 翁長雄志前知事の弔い合戦となった知事選に沸く沖縄の問題や、日本を取り巻く領土問題の虚実を徹底検証した。イースト新書の一冊。
 同書は日本と中国、韓国・朝鮮、米国、さらには琉球王国などとの歴史的な関係を振り返ることで日本の領土問題を考える試み。沖縄の位置付けについて、本土では中国人や韓国人との共通性が高い弥生人が優勢だが、沖縄では弥生人が来る前から日本列島に住んでいた縄文人らしい特質を持つ人が圧倒的な割合を占めていると指摘。
 尖閣諸島問題については「沖縄の人がヤマト以上に執着しているとは思わないほうがいい。なぜなら、尖閣諸島は琉球王国の領土だったことはないからで、ヤマトの問題であり、尖閣諸島を守るために基地が必要だという論理も人気がない」と沖縄の実情を解説している。
 米軍普天間飛行場の辺野古移設問題では、反対だった翁長前知事が態度を変えた理由にも触れる。もともと、翁長氏は確たるイデオロギーを持った政治家ではなく、県民としてごく当たり前に、強い郷土意識と、同じ日本人でありながら同等に扱われていないという無念さを持った人だったと分析する。
 イデオロギーに偏らない冷静な筆致が特徴。筆者は「日本も含めた各国が領土についてどのような考え方をもち、行動してきたかを考えれば、日本がどうすべきかが目から鱗(うろこ)が落ちたように分かって来ると確信する」と自信を示す。 

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