【視点】話し合い「拒否」はデメリットだけ

 玉城デニー知事は宮古、八重山での自衛隊配備について「住民の同意がない強行配備は認められない」と主張している。石垣島では、予定地周辺の4地区住民が反対を表明していることを念頭に置いた発言だろう。だが、配備推進派が勝利した市長選や市議選の結果を知事がどう見ているのかは判然としない。
 4地区住民は、配備計画が着々と進むことに反発し、防衛省だけでなく石垣市が開いた説明会にも参加しなかった。だが政治や行政は生きものであり、防衛省や市が配備の手続きを完全にストップし、反対派と話し合うよう望むのは非現実的だ。
 一方で「石垣市住民投票を求める会」が平得大俣地区への配備の是非を問う住民投票の実現に向け、署名集めを続けている。
 既に6千筆を突破する勢いで、地方自治法が定る条例制定直接請求の要件である「有権者の50分の1以上」を大きく上回っている。直接請求は成立し、住民投票条例案が市議会に提案されることになりそうだ。
 安全保障問題は国、地方を問わず選挙の争点にはなり得る。しかし住民投票のテーマとしては違和感がある。脅威から国をどう守るかという問題は国民の負託を受けた政治家が決断し、国民に対して責任を負うシステムになっているからだ。「安全保障問題は住民投票になじまない」とされる理由だ。条例案が提出された場合でも、議会には慎重な対応が求められる。

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