古くから島と暮らしを守ってきたアダンの有用性を再認識し、島の文化を伝承していこうと、「2018琉球弧アダンサミットin石垣島」(主催・同実行委員会)が8、9の両日、県立石垣青少年の家で開催された。一般財団法人・沖縄美ら島財団の理事長・花城良廣氏は8日のシンポジウムで、アダンが根に砂れきや石を抱く性質上、海岸の緑化にも役立つとして「保全しないと海岸が危ない」と警鐘を鳴らした。同サミットは宮古島市の池間島で昨年から開催され、石垣島では初。
開会のあいさつ後、にしのもり保育園の3~5歳の園児40人が手作りの絵を用いながら、神様が木々に役割を与えるというアダンにまつわる神話を紹介。その後、児童たちによる記念植栽が行われた。
同施設体育館で開かれたシンポジウム「アダンにまつわる自然と文化」では、花城氏が「アダンは有用性を秘めている植物」指摘し、古文書には資源としての可能性を探る手がかりがあり「どう活用していくかを考えるのも大切」と強調。NPO法人いけま福祉支援センターの三輪大介氏、沖縄大学副学長の盛口満氏、郷土史家の大田静男氏による研究発表も行われた。
アダンは熱帯の海岸に広く分布するタコノキ科の植物で、日本ではトカラ列島以南の沿海地に生える。防潮、防風、防砂に役立つだけでなく、葉、花、果実、幹、支柱根といったほぼ全ての部分が生活用具の材料、燃料、食糧などの資源に使われてきた。現在でもインドでアダンの花が香水や精油に利用されている。
9日は午前9時から、同体育館でアダンを用いた帽子、ござ、草編み玩具づくりなどを体験する「アダン・クラフトのデモンストレーションとワークショップ」が行われ、100人以上が来場した。8日から展示されているアダンに関する書籍や、アダンの筆、草履、編み物などにも目を留めていた。