マスメディアやSNSなど、情報が過剰とも言うべき現代にあって、自分自身で一つひとつの情報を吟味するには、読書によって培われた「思想的軸」が必要になる。新進気鋭の政治学者が説く、自分らしく生きるための読書論。
著者は自分自身の経験から「流されない読書法」として「あえて自分と違う考え方の本を読む」「大著を読む。読み終えれば自分が変わったような感覚が得られる」「小品でも読めば人生についての考え方が変わる本はある」―などのアドバイスを散りばめる。
トルストイの「戦争と平和」やドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」などの難解な作品について「読む前と読んだ後とで人生が変わってしまったというような感覚にとらわれます。日常生活において何が変わるわけではありません。大著を読んだから、すぐに時給が上がるわけでもありませんし、寿命が延びるわけでもありません」「しかしながら、何か自分自身が少し変わったような感覚、自分が住んでいる世界、人間について、より理解が深まったような感覚が味わえるのです」などと読書の効用を説く。
育鵬社刊。260ページ。定価1400円(+税)。