県は7日、24日に実施される辺野古埋立ての賛否を問う県民投票について、有識者が議論するフォーラムを開催した。登壇者は軍事アナリストの小川和久氏や沖国大の前泊博盛教授、野添文彬准教授。フォーラムは2部構成で、辺野古埋立ての過程を登壇者が振り返った後、さまざまな点から辺野古埋め立てについて、議論した。安全保障の観点から、小川氏は沖縄の米軍部隊について、中国に対する抑止力になると発言。一方、前泊氏は日本の安全保障のために沖縄に基地を置く軍事的な理由はないと主張した。
小川氏は沖縄の米海兵隊地上部隊について「尖閣諸島や台湾海峡に対して極めて大きな抑止効果を求められている」と述べ、在沖海兵隊の意義を強調。米国は中国軍による台湾攻撃と傀儡(かいらい)政権の樹立、内戦に備えていると分析。沖縄の海兵隊がオスプレイを使い急派できると示唆し、「中国と接触する位置にいることが抑止効果だ。(中国は)米国との全面戦争を望まない、ためらわせる」とした。
尖閣諸島に対しても「向こう(中国)が手出しをしない抑止効果がある」と述べた。普天間の県外移設については「数を少なくするのは可能だが、航空基地と演習場を確保、維持することが必要なので、県外移設は基本的に考えられない」と話した。
前泊氏は「軍事安保では脅威と言われるが、経済では中国無しでは沖縄は成り立たない時代が来た」と発言。経済安保の分野で議論をすべきと主張し「日本にとって最大の貿易相手国は米国ではなく中国だ。両国を取らないと日本は成り立たない」と分析。「仮想敵国論に動かされるべきではない」と主張した。尖閣諸島の一部が米軍射爆場として提供されているとし、「基地として提供されているが、中国艦船が動き回っても米国は動かない」と指摘し、中国脅威論を疑問視した。