県文化観光スポーツ部空手振興課は17日午後、石垣市総合体育館武道場で、空手の保存・継承・発展を図る取り組みを戦略的に行う「沖縄空手振興ビジョン」のロードマップ策定に関する説明会を開いた。沖縄伝統空手道振興会(会長・玉城デニー知事)の法人化による組織運営基盤の強化と、空手のユネスコ無形文化遺産登録への方針を中心に説明がなされた。次年度から同ロードマップに基づき施策が推進される。
同振興会は2008年2月に結成されたが、技術講習会や情報交換会などを行う「流派連絡会」が設置されていないなど、規約に基づいた十分な運営がなされていない状態が続いていた。
法人格を取得し、ライセンスビジネスなどを展開することで、事務局体制や財務状況などの組織運営基盤強化と、道場へ適切な運営資金が供給される仕組みの構築を図りたい考え。現在、同振興会、県、有識者らで法人化に向けた話し合いが進められている。
「沖縄の空手・古武術」は1997年に県指定無形文化財に登録されており、同課は沖縄空手の価値をさらに広く県民に啓発することでユネスコ(国際連合教育科学文化機関)への登録に向けた気運の醸成も図る方針だ。
空手は20年の東京オリンピックの正式種目に採用されるなど、今後は注目度がさらに高まることが予想されている。沖縄空手振興ビジョンは、「保存・継承」「普及・啓発」「振興・発展」を基本理念として主要施策や施策項目が設定されており、18年3月に策定された。
県、空手関係団体、経済界などのさまざまな分野が共通認識として空手の価値と現状を確認し、協働して沖縄空手の目指すべき将来像を描くことで、戦略的かつ計画的に空手の保存・継承・発展を図ることを目的としている。
同ビジョンの期間は現在の30~40代の空手家が中心となり取り組んでいくため、18~37年度までの20年間としている。
説明会後は、「沖縄空手普及・啓発セミナー」として、沖縄唯一の国際審判員・天願一馬氏による形・組手審判の座学、実技講習も行われた。
同説明会は昨年10月から沖縄本島中部、北部、南部、宮古島と行われ、石垣島が最後。