【視点】普天間、両立せぬ二つの政策

 玉城知事は19日、官邸で安倍晋三首相と会い、辺野古移設を中止し、県と協議するよう求めた。一方で、県が岩礁破砕許可を得ずに移設工事を進めているとして国を訴えた裁判は上告しない方針を伝えた。
 辺野古沿岸埋め立て承認の撤回を巡る訴訟の提起も、政府の対応を見守るとして現時点では明言していない。県と国が、またも不毛な訴訟合戦に突入する愚は避けるべきだ。
 玉城知事は前回の安倍首相との会談で、辺野古沿岸埋め立て反対が投票者の7割超を占めた県民投票の結果を伝えた。松川市長との会談でも、県民投票を経て普天間飛行場問題が新たな段階に入ったとの認識を示し、SACО合意の検証などに県の意向を反映させたい方針を示した。
 だが、県民投票が現実の政治に与えたインパクトは、県内はともかく、全国や海外ではほとんど感じられない。安倍政権は移設作業を着々と続行し、県民投票を受けた米政府の反応も聞こえてこない。
 一つの県の県民投票でどのような結果が出ようとも、そのことをもって、日本の外交や安全保障に踏み込むことはできないからだ。まして昨年の知事選で辺野古反対の玉城知事が誕生している。県民投票の結果は容易に予測でき、さらに政治的効果が減じる結果となったことは否めない。
 これ以上県民投票の結果を訴えても、沖縄以外では、はかばかしい反応は得られないのではないか。
 県としては泥沼の訴訟合戦を思いとどまり、政府との新たな協力の道を模索することが現実的な対応策だ。

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