【視点】尖閣上陸 地元の熱意に意義がある

 尖閣諸島に新たな字名を刻んだ標柱を設置するため、石垣市が9月3日、菅義偉政権に行った上陸申請は同28日、不許可とされた。菅氏退陣のあとを受けて就任した岸田文雄首相も今月日、日本維新の会の衆院代表質問に対し「総合的に勘案した結果、上陸は認めないこととしている」と言明。今後新たな上陸申請があっても、不許可とする方針を示唆した。
 標柱設置は石垣市が昨年、尖閣諸島の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更したことに伴う計画だ。市議会も設置を求める決議を可決している。標柱設置はまぎれもなく地元住民の意思であり、門前払いのような対応は残念だ。
 石垣市が尖閣諸島への上陸を政府に要請したのは今回が初めてではないが、安倍政権、菅政権は一度も許可を出さなかった。誕生したばかりの岸田政権がこの問題を熟慮したとは考えにくいが、やはり許可しない方針は一貫しているようだ。
 政府に中国との決定的対立を避けたい意図があるのは間違いないが、現在の姿勢は基本的に問題の先送りでしかない。

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