太平洋戦争末期、西表島祖納沖で墜落した米戦闘機パイロットの遺骨収集に向け、23日から祖納で墜落機の調査をしていたマイケル・マカロニン氏(45)=ニューヨーク州=と、米国の遺骨調査団体の職員ら3人が25日午前、祖納沖海底で同機を確認した。今後はパイロットの遺族に調査結果を報告し、米政府に遺骨収集の実施を呼びかける考え。
パイロットは同州北部の町・トロイ出身の米海兵隊、ジョン・マクグラス少尉(当時21)。マイケル氏の父・ホワード氏は少尉の高校時代のクラスメートで、米海軍時代の戦友だった。
同機の調査と遺骨収集作業は1988年に米国専門家らが行い、収集された遺骨6片の身元鑑定も行われており、判明すれば遺族に返還されるはずだが、現在も遺族のもとに還っていない。
マイケル氏らは、87年夏に同機を発見した地元ダイバー・池間四郎さんの協力を得て25日午前、地元ダイバー3人と遺骨調査団体のジャスティン・タイラン氏(41)の計4人による海底調査を開始、同機を確認した。
マイケル氏はダイバーに依頼し、海底に沈む墜落機のエンジン部分に少尉の家のレンガ片と、2014年に亡くなった父・ホワード氏の遺影を供えた。
88年の調査に責任者として携わった石垣金星さん(73)=祖納=が今回の調査にも協力。26日にはマイケル氏らを自宅に招き、「海の底ではあまりにも気の毒。先祖と一緒に供養したい」と提案した。自宅の仏壇には少尉がホワード氏と撮った写真が供えられた。
調査を終えたマイケル氏は「現地に来ることができたこと、金星さんが供養してくれること、全てに感動」と振り返り「遺族が知っているのは墜落の事実のみ。88年の調査も知らない。まずはジョンさんが祖納にいたことを伝えたい」と話した。タイラン氏は「すばらしい人たちとの出会いのお陰で、死んでいた歴史がよみがえった」と強調した。
同行した調査団体「KUENTAI―USA」の倉田宇山理事長(63)は「島の人に大きな借りができた」、通訳の赤塚由香理氏(33)は「亡くなった兵隊とどう向き合うかという点で、島の人に日米で共感できるものを作ってもらった」と感慨深げだった。