「与那国を守ってね」 天皇陛下、外間町長に声掛ける

 天皇、皇后両陛下は最後の1年も、地方に足を運び続けられた。被災地、離島、外国人関連など、さまざまな背景や課題を抱える地域とどう向き合ったのか。両陛下を迎えた自治体の首長が振り返った。
 昨年3月、最後の離島訪問として、日本最西端の与那国島に足を運び住民と交流した。与那国町の外間守吉町長は島を離れる飛行機に乗り込む直前に陛下から「与那国を守ってちょうだいね」と声を掛けられたことをよく覚えている。
 外間町長は「本土とは歴史や文化も違うが、(来島で)距離感が近づいたと感じる。感謝している」と話した。
 昨年9月、西日本豪雨で甚大な被害が出た広島県呉市を訪問。湯崎英彦知事は、お見舞いを受けた被災者らの表情の変化を見て「見えない力があるなと強く実感した」と話す。
 2014年、77人が犠牲になった広島土砂災害の現場も視察した両陛下。冬の寒気が立ち込めていたが、車の窓を開け、沿道の人々にずっと手を振っていた姿が印象的という。湯崎知事は、被災者に気力を与えることができる背景を「日ごろからの物事に対する姿勢や国民への接し方があってこそだ」と分析した。
 昨年11月に両陛下が在位中最後の私的旅行先として訪れた浜松市は、外国からの居住者が多い。両陛下は同市内の外国人学習支援センターを訪問。ブラジル人やインドネシア人と笑顔で交流した。
 鈴木康友市長は国会議員だった01年に、静岡県を訪れた陛下から「(移民への)配慮をお願いします」と託されたことを思い出したといい、「両陛下の訪問は市民が喜ぶだけでなく、地域の事業の励みになる」と話した。

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