石垣市真栄里在住で竹富島郷友の富本衛さん(76)がこのほど、手作りの小冊子「竹富島の民具」を制作し、こぼし子ども育成会(根原哲也会長)に寄贈した。島の民具の魅力を伝え、後継者を育成していくことが目的。昨年度は竹富公民館にも寄贈している。
竹富島の民具といえばクバ笠のイメージだろうか。しかし実際にはゆりかごや卵入れなど、ユニークな民具がたくさんある。かつての竹富島では、日常生活の中に民具が当たり前に作られ、使われていた。富本さんの民具づくりの原点も、竹富中学校時代に作った「稲ワラの芯で作ったほうき」だ。
今では安価なプラスチック製品が普及し民具は姿を消したが、富本さんは2008年開催された「竹富島民具づくり教室」の講師を務めた際に、島に伝わる伝統民具を20種類以上掘り起こした。また民具を作る中で浮かんだアイデアを生かして製作したオリジナル作品は、竹富島らしい土産品として観光客にも評判だ。
「プラスチック製のストローを見直す動きもあるように、時代は繰り返す。先人の知恵は今後、必ず役に立つ」そう語る富本さんは、続編として民具の作り方を小冊子にまとめたいと考えている。根原会長は「カラー写真も豊富で分かりやすい。子どもたちが民具に興味を持つきっかけになれば」と喜んだ。(隅田賢通信員)