4月中旬、まだ白い部分が残る若いカンムリワシが、於茂登岳の南側、於茂登前岳の嵩田林道にいた。
例年9月ごろに巣を追い出されて、流浪の旅に出る真っ白いカンムリワシの幼鳥は、成鳥の持つ縄張りを避けて、居場所を転々する。餌(えさ)とりの下手な状態で11月、12月の昆虫、カエル、ヘビも減る冬の食糧不足の時期を乗り越えねばならない。1月には成鳥のペアリングの時期が始まる。幼鳥は亜熱帯でもっと寒い2月をやり過ごし、2月、3月の成鳥のペアリングの様子を横目で見ながら、昆虫が増え、爬虫類も動き出し、カエルも増える4月を迎えている。
この日、地面をいじり、何か探している様子の若いカンムリワシは、人の気配に気づくと枝に飛び移り、様子をうかがっている。
成鳥の雌雄のカンムリワシがペアリングを終えて、営巣の時期に入っていれば、雌雄どちらかの縄張りが一部で留守がちになってもおかしくない。若いカンムリワシが山に進出できていることは、過酷な冬を乗り切った証(あかし)でもあり、大いに祝いたい。