尖閣周辺には4隻の「海警」がいたが、高洲丸から確認できたのは3隻。高洲丸を前後から挟み撃ちにするような位置関係で、このうち「海警1501」が急接近してきた。間に割って入るように高洲丸をガードする巡視船。双方が並走しながら前へ進んだ。
高洲丸は全速力で航行。巡視船の海上保安官からは、拡声器で「スピードを落とさないで」「中国公船を挑発しないで」と指示が飛んだ。仲間氏は「エンジンを止めて、中国公船がどう動くか見たかったが、海保の指示なので従わないといけなかった」と苦笑する。
海警の追跡劇は約1時間続いた。高洲丸に体当たりするような素振りはなかったというが、仲間氏は「執拗な追尾に、尖閣での漁労を阻止しようという中国の『本気度』を感じた」と指摘。「日本の漁船を追い出し、誰も来ない海にして中国の漁船を投入すれば、日本の領海とは呼べなくなってしまう」と危惧した。
尖閣周辺海域の現状について「自国の領海内で漁をしているのに『挑発するな』と言われる。自国の領海だと言っていられる状況ではない」と述べ、中国公船への具体的な対応策を検討すべきとした。
1990年代から20年以上、尖閣問題に取り組む仲間氏。今後も尖閣海域へ出漁する意向で「(基地反対派は)何もしなければ戦争もなく平和だというが、何もしないと尖閣を取られる。状況は厳しいが、石垣市の行政区域を守り、尖閣周辺で漁ができるように、これからも死に物狂いで頑張る」と改めて決意を示した。