労働生産性の向上に向け、まず考えられるのは人材の適正な配置である。社員がそれぞれの得意分野に集中し、実績を上げられる環境づくりが大事だ。逆に言えば結果を出せない不得意な分野は、思い切って切り捨てる勇気も必要だ。社内業務の分業化促進など、特定の社員に過剰な負担がかかる仕組みの見直しにも着手すべきである。
予算の問題もあるが、職場には可能な限り最新鋭の設備を導入したい。一時的にはお金がかかっても、長い目で見るとコストダウンにつながる例は少なくない。燃費が悪い車両の更新や、処理速度が遅いパソコンなどが身近な例だ。最近はAI(人工知能)導入による業務効率化が注目を集めている。
「働き方改革」は、必ずしも経営上の大きな決断を必要とするものに限らない。身近な業務改善の積み重ねも大きな成果につながる。
公益財団法人沖縄県産業振興公社が、県内企業の「働き方の改善導入事例」を紹介している。「誕生日の有給休暇取得推進」「週1回のノー残業デー設定」「半日の有給休暇取得制定」「通常の退社時間を早め、繁忙期の時間外労働と相殺」などがあり、多くの企業にとって、それほど敷居が高い取り組みではない。
仕事と育児・介護を両立できる環境づくりも進め、女性パワーを有効活用しなくてはならない。体力づくりやメンタルヘルスも含め、社員の健康管理は万全か。明日からでも取り組めることは無数になる。
小人数でも短時間で大きな仕事を成し遂げる企業が、将来の沖縄を引っ張る。「働き方改革」は、従来の重厚長大型企業が、未来型企業へ成長する大きなチャンスでもある。